そして通常,住宅の新築はビルトアップされていない市街地周辺の空地を指向するから,都市の中心から
外周に向かうほど住宅は新しくなる。そこで,都市における新旧の住宅の取得
者の所得水準と,居住地の分布は明瞭な対応関係を示す。中心部のもっとも古
い住宅に低所得者が居住し,周辺部から郊外にかけてのもっとも新しい住宅に
高所得者が居住し,両者の中間に中所得者が居住するという,帯状の住み分け
が成立する。それに所得上昇をともなうライフサイクルが重なり,ある近隣住
区が老朽化すれば高所得者はより外側のより新しい住宅に移るし,所得水準の
向上を実現した所帯も同様の行動をとり,彼らによってあけ渡された住宅には
一段低い水準の所得者が入居する。(中略)フィルタリングプロセスを通じ
て,全体としての住宅水準が向上したことは確かであろう」(pp.142~143)
とフィルタリング・プロセスの評価を行っている。
またベリー(1976)はシカゴの住宅市場の分析結果から,フィルタリング・
プロセスが有効に作用して,貧困者を含めて全般的に住宅水準が向上したこと
を主張し,「シカゴの住宅市場が,人種によって分割されていることを認めな
がらも,活発な白人郊外の成長がフィルタリングプロセスを通して,イン
ナーエリアの黒人の住宅選択の幅を広げ,住居費の相対的低下をもたらし,そ
の居住条件を向上せしめた」(成田;1987,p.146)とその効果の部分をも評価
している。

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一方,フィルタリング・プロセスに関する別の評価としてダウンズ
(Downs;1976)は,貧困者が排除されることによってわずらわしい問題から
解放される近隣地区で,良質の住宅を享受できる多くの世帯には,フィルタリ
ング・プロセスは非常にうまく機能するものと評価されるものの,都市の貧困
地帯,とくにマイノリティグループにとってこのプロセスは,自分たちを都心、
部に接した古い近隣住区の最低質の住宅に閉じ込める社会的災禍(socialdisaster)
となることから正反対の評価をしている。

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