また,高山(1982)はインナーシティにおける雇用との関連から住宅問題を研
究し,大阪市の劣悪な住宅事情を明らかにしたが,ハウジング研究においてこ
のようなインナーシティにおける住宅問題の摘出も重要な位置を占めているこ
とを提示した。東京のインナーシティ問題については高橋編(1992):『大都市
社会のリストラクチャリング一東京のインナーシティ問題一』においてさまざ
まな角度からアプローチされており,その中で竹中(1992a)は社会階層の問
題を明らかにし,中林(1992)は人口の転出入状態からインナーシティの人口
流出を分析し,これに対処する住宅政策の必要性を訴えた。

お金をかけても大規模なリフォームをしないで地震対策ができる場合もある。←いろいろな物件を見て知識を得よう。

以上のように,インナーシティの確定やインナーシティ問題の分析には住宅
が重要な指標として用いられることが多いが,インナーシティにおける住宅事
情の形成要因に関しては,成田(1987)に詳細な紹介がなされている。成田は
「インナーシティにおける住宅供給に着目して,その主要手段とされてきた
フィルタリング・プロセスが人種差別に基づく住宅市場の二重性によって有効
性を阻害され,インナーシティの衰退を招いている実態と,住宅市場の二重性
を存続せしめてきた仕組み」(p.135)を明らかにすることを試みている。そ
の際に成田はアメリカ合衆国における住宅市場について次のように述べている。

「アメリカにおける住宅建設の大部分は,民間部門で行われ(中略),しかも
新築住宅は,地方政府の建築基準やゾーニング法に適合するために,高水準の
質と規模を維持しなければならないから,そのコストは一般に割高となり,購
入者のほとんどが中産階層以上に限定されている。

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